2019年の大河ドラマ「いだてん」のポスター、ロゴが目に付くようになってきましたね。
なかなかエキセントリックなデザインだと思いませんか?
筆調やアルファベットのキチッとしたロゴデザインが多い大河ドラマの中で、近現代のドラマとはいえ、今回「いだてん」のデザインは際立っていると言えます。
こんな不思議なデザインを考案した横尾忠則氏について、まとめてみました!
NHK大河ドラマ「いだてん」のロゴを紹介しましたが、そのポスターができました。原物は金ピカです。モデルは中村勘九郎さんです。大変な熱演でした。 pic.twitter.com/NF5NaqVeVB
— 横尾忠則 (@tadanoriyokoo) 2018年12月18日
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この記事で伝えたいこと
横尾忠則プロフィール・彼は画家?巨匠?
NHKサイドは次のように語っています。
「1960年代に感じるとてつもない時代のうねりや高揚感を“今”の感覚で表現できるのは横尾忠則さんしかいませんでした。64年の東京オリンピックのデザインチームの一員であり、現在に至るまで世界を刺激し続けてきた横尾さんのエネルギーが『いだてん』には必要だったのです」
まずはそんな横尾忠則のプロフィールです。
1936年 兵庫県に誕生(現西脇市)、呉服商の叔父に養子にいく
1945年 終戦まで、空襲などの戦争体験を味わう
1955年 絵の才能はあったものの美大を断念、
印刷所を経て神戸新聞社に入社
デザインアートに携わる。
1964年 東京オリンピック時はヨーロッパ旅行に出ていた
1969年 大島渚監督の映画「新宿泥棒日記」主演
1970年 親交のあった三島由紀夫の死に衝撃を受け、
インド旅行に出る
1972年 ニューヨーク近代美術館で個展を開催、
以後作品の発表はNYがメインになる
1984年 ベルギー国立20世紀バレエ団の舞台美術に携わる
2001年 紫綬褒章受章
2002年「横尾忠則森羅万象」開催
多摩美術大学大学院教授に就任(~2004年)
2011年 旭日小綬章受章
少年漫画の雑誌の絵が大好きだった横尾忠則。
小さいことから絵が好きだった彼ですが、美大など正統派の経歴があるわけではありません。
「食べるため」とデザイン系の商業アートを仕事にして、絵はコツコツ続けていたんですね。
なんと、俳優もやったことがあるというのだから、多彩です。
《1968年夏…新宿紀伊国屋書店…本を万引きする青年(横尾忠則)…若い女店員に手首を掴まれる…その刹那、強い性的興奮を覚える青年…社長の所に突き出される…ところが女店員は店と社長さんが好きな偽店員だった》…大島渚『新宿泥棒日記』 pic.twitter.com/9RTXcGOgSd
— BON (@1632bdkrst) 2017年12月1日
絵画については、むしろアメリカで認められた、という経緯があるんですね。
ピカソに敬意を評していることもあり、岡本太郎と似た方向性を感じる、芸術家です。
また、兵庫県の景観を守る活動にも力を入れていて、ロケ地としても著名な西脇市立西脇小学校の旧校舎の保全に携わったりもしています。
82歳の今、引退ということを横尾忠則は考えていません。
むしろ、今後制作のペースを上げていきたいと、こんなコメントをTwitterにあげています。
ぼくはセッカチ人間だから今までは100〜150号でも1日で描いていました。これからは、そんなわけにはいかないでしょうね。と言って時間をかけ過ぎると絵のパワーもエネルギーも逆に消滅してしまう。もうスポーツです。
— 横尾忠則 (@tadanoriyokoo) 2018年11月22日
そう、難聴を患ってからの横尾忠則はTVにはあまり関心がないとのことですが、Twitterへの投稿は盛んなんですね。
100歳まであと20年長いなあ。何が何んだかヨタヨタの絵を見てみたい気もする。自分でありながら、もはや自分でない者が描いた絵を。
— 横尾忠則 (@tadanoriyokoo) 2018年3月8日
神戸の街には電柱がないことに気づいた。大震災の前からの計画だったそーだが。電柱電線がないので空が広く見える。なんだか街全部が観光地になった感じ。住民の協力がないとできないことですよね。
— 横尾忠則 (@tadanoriyokoo) 2018年10月15日
横尾忠則の世界観まとめ
美術評論家ではない立場から、ざっくり横尾忠則についてまとめてみました。
・女性像と死生観
・着物や東洋美術の影響
・遊びで描くということ
女性の裸体がモチーフとしてよく登場する横尾作品です。
でもただ「エロス」を描いているという感じにはとれないんですよね。
また、極彩色を用いているのに、どこか死を意識しているような作品が多く見られます。
やはり、戦争体験の影響はぬぐえないと本人もインタビューで答えていますし、また事故による重傷などを経験したことで得た死生観があるのでしょう。
横尾忠則は『病の神様―横尾忠則の超・病気克服術』という本も書いているんですよ。
横尾忠則は呉服屋を営む養父母に育てられたので、バックボーンには「少年漫画と着物デザイン」があるんですね。
また、インドを中心に東洋の文化には大きく影響を受けています。
病気の療養にも漢方などに頼ったという話もしているんですよ。
「遊びのところがないといけない」というのが、NHKの番組で、横尾忠則がマラソンの瀬古利彦と対談した時にでた発言です。
自分の作品を完璧にしようと思っていないから、特にゴールを引くことなく、創作がつづけられるんですね。

身近な横尾忠則、TVも美術館も
直接絵をお見せできないので、Twitterの投稿を紹介しますね。
本日の一品は「まんがNO.1 昭和48年2月号」https://t.co/uHJyO87YTl
「表紙:横尾忠則」
「附録レコード:山下洋輔トリオ+1」
「杉浦茂:アップルジャム君」
「日野日出志:女の箱」
「赤塚不二夫:ウナギイヌの最期
ある意味、長谷邦夫がやらかしちゃった感がある、な一品。#本日の一品 pic.twitter.com/6yAY3i7QtK— じゃんくまうす (@nezumikootoko) 2018年5月27日
十和田市現代美術館の横尾忠則展見てきた!やばいわけわかんない好き かざぐるまの女が見れるとはおもわなんだ…県外の人も是非見に来て #横尾忠則 pic.twitter.com/RVESblPQ3K
— 砂鴇 (@fstk_rv) 2017年9月15日
横尾忠則展“Swimming Girls”南天子画廊で9月19日(土)まで。 http://t.co/CrWIGdw9G0 「泳ぐ女」変奏曲ともいうべき作品群を発表。お城の堀を泳ぐ女を描いた《お堀》という有名な絵(1966年)が元だ。 pic.twitter.com/XHmUOxRewK
— 鈴木芳雄 (@fukuhen) 2015年8月26日
今夕、銀座のggg(スリージーギャラリー)で44年前の新聞小説「幻花」(瀬戸内寂聴)の挿絵展のオープニング。今じゃとても描けない絵。時代と技術と体力が描かせてくれた絵としかいうしかない。 pic.twitter.com/g2E6DMvhHC
— 横尾忠則 (@tadanoriyokoo) 2018年9月5日
よくYOKOOの絵はどれが本当なんだという人がいますが、全然似てない作品であっても、全部ぼくの作品です。外国にはないタイプですが、ぼくのニューヨークの画廊は、そんなケロケロ、コロコロ変る作品を愛してくれています。今開催中のアルベルツ・ベンダ画廊のホームページを見て下さい。
— 横尾忠則 (@tadanoriyokoo) 2018年9月21日
本人も認めるとおり、これぞ!という型にはまらない横尾作品たちです。
水曜日のダウンタウンは横尾忠則ではなかった!
水曜日のダウンタウンのOPって何かに似てるなーとおもったけど横尾忠則のインスパイアぽいね。サイケデリックな極彩色とかデフォルメされた人物絵なんか特徴的だし。センスあるなぁー。#水曜日のダウンタウン pic.twitter.com/yV9zQo2z1W
— Zobi (@zobi_xyz) 2018年12月12日
ネットで意外に多かった「あれが横尾作品か?」との話題でしたが、間違いでした。
「水曜日のダウンタウン」のオープニングの絵もかなりぶっ飛んでいて、かつ人間味あふれる絵が使われていますが…美術担当スタッフさん達の中に横尾忠則の名前はありませんでした。
ひょっとしたらオマージュ、ということはあるかもしれませんね。
横尾忠則の美術館
横尾忠則は多くの新しい作品をニューヨークで発表しているとのこと。
日本で見ることができるのは、下記になります。
横尾忠則現代美術館(神戸市)
http://www.ytmoca.jp/
3000点以上の横尾忠則の作品が収蔵されています。
現在は「横尾忠則・在庫一掃大放出展」を実施しており、来年度の企画は「横尾忠則・大公開制作劇場」とのこと。
みんなの前で制作すると「かえって無心になれる」なんてすごいです。
豊島横尾館(香川県小豆島)
http://benesse-artsite.jp/art/teshima-yokoohouse.html
古民家を利用して横尾忠則の作品を展示しています。
建築家・永山祐子とのコラボで、敷地内もアーティスティックな空間に変貌しています。
(見学は準予約制)
横尾忠則と「いだてん」
NHK大河ドラマ「いだてん」のロゴを制作しました。 pic.twitter.com/VJEVzvpVxA
— 横尾忠則 (@tadanoriyokoo) 2018年11月13日
足がクルクル回る、しかも3本、という奇妙なデザイン。
横尾忠則のエキセントリックさの表れか、と思いきや…。
実はちゃんと、ルーツのあるデザインだということが分かりました。
By FXXX – Triskelion is from Image:Flag_of_the_Isle_of_Man.svg, own work, Public Domain, Link
三脚巴紋、トリスケルと呼ばれ、紀元前のミケーネ文化に由来、現在もマン島(イギリス領)やシチリア島(イタリア自治州)などのシンボルになっています。
日本の三つ巴紋にも通じるものがある、伝統的なデザインからくる、ロゴデザインだったのですね。
By Mitsukai, CC BY-SA 3.0, Link
横尾忠則は実はマラソンが大好きで、この仕事を依頼されたときのことを次のように語っています。
「僕もマラソンが大好きなので『いだてん』のポスターは僕のテーマだと思いました。他の人に依頼されなくて良かったです」
「いだてん」主演の中村勘九郎の父・十八代目中村勘三郎の舞台が好きだったという横尾忠則にとって、二重の意味で運命的な仕事だったわけです。
三脚巴紋と千手観音のような表現で韋駄天走りを見せている中村勘九郎の写真。
ペットボトルを持っているところが意図的なご愛敬です。
東洋と西洋の伝統的な要素の融合、という壮大なテーマと遊び心ですね。

まとめ
いかがでしたか?
横尾忠則氏とは、なかなか測りがたい不思議な人物でした。
商業美術家ではなく、場合によっては画家とさえ捉えにくいアーティストです。
しかしテレビなどで、私たちは彼の作品に意外にお目にかかっていたんですね。
ポップなようでいて、歴史的なデザインもあしらって完成された「いだてん」の題字。
ドラマのオープニングで、駆け出してクルクル回るさまを見るのが楽しみです!
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