「西郷どん」の視聴率が「不思議な現象」と騒がれています。
視聴率の『西高東低』、つまり関東地区と関西地区の視聴率の差があまりに激しすぎるので、NHK関係者も驚きを隠せない、とのことです。
ここでは、
・西高東低の報道理由は不調隠し?
・西高東低は異常現象ではない?
・過去の大河ドラマとの比較わかること
・西郷どんの視聴率はなぜ低迷?
を探ってみましょう。
西郷どん『西高東低』報道の理由は不調隠し?
確かに視聴率の『西高東低』は著しい模様です。
「西郷どん」の初回1月7日の視聴率は関東地方15.4%に対し、関西地区19.8%というスタートを切りました。
すでに関西で人気が高いことがわかります。
今回問題になっているのは7月29日放送の第28話までの平均視聴率です。
関東が13.5%、関西が16.7%と、3.2%もの差が出たというのです。
また、7月29日の第28話だけを見ると、関東11.1%、関西16.3%と、これまた差を広げる展開です。
ところで、1点だけ気になることがあります。
「なぜこの時期に、わざわざ『西高東低』が報道されたか」ということです。
何しろ初回から分かっていたことですから。
『西高東低』の問題は、8月5日の8時前後にインターネットニュースで広まっています。
しかもその際「関東11.1%」のことは触れていないか、軽く扱われている状態です。
つまり、「西郷どん」の視聴率が全体的に下落傾向が続いているという事実について、まるで蓋をするかのようなタイミングの報道になっているわけです。
そう考えると、11.8%という関東地区の不名誉な数字をなるべく目立たなくするために、まさにこの時期に報道されたニュースであると、深読みできるのです。
西高東低は異常現象ではない?
「西郷どん」の『西高東低』は異常現象なのでしょうか。
ニュース記事では、最近の「女城主直虎」「真田丸」と比べ、近年東西の開きが最も大きい大河ドラマと、取り上げられています。
ただ、記事のように、比較対象が「おんな城主直虎」「真田丸」だけでは検証不足ですね。
どちらもほぼ中部東海地方がメッカで、井伊直虎はほどんど遠江の井伊谷から出ませんでしたし、真田幸村も大阪城以外には関西での活躍がありません。
ここは関西地区が舞台の中心であるドラマとも比較してみなければなりません。
過去の大河ドラマとの比較でわかること
それでは、過去の大河ドラマと比べてみると、どうでしょうか。
ドラマ | 年 | 関東(初回) | 関西(初回) | 関東【平均】 | 関西【平均】 |
西郷どん | 2018 | 15.4 | 19.8 | 13.5 | 16.7 |
おんな城主直虎 | 2017 | 16.9 | 17.3 | 12.8 | 14.1 |
真田丸 | 2016 | 19.9 | 20.1 | 16.6 | 15.9 |
花燃ゆ | 2015 | 16.7 | 16.9 | 13.0 | 12.0 |
軍師官兵衛 | 2014 | 18.9 | 23.0 | 15.8 | 18.2 |
八重の桜 | 2013 | 21.4 | 19.2 | 12.0 | 11.6 |
(%) *西郷どんは、28回までの平均
姫路から中国地方が中心の「軍師官兵衛」の初回視聴率は、関東18.9%に対し関西は23.0%と『西高東低』が顕著でした。
平均視聴率も、関東15.8%、関西18.2%となりました。
逆に関東が舞台である「八重の桜」の初回視聴率は、関東地区21.4%、関西19.2%でした。
「八重の桜」では主人公・八重は後半に同志社大学の設立に関わるわけですが、それでも平均視聴率は関東12%に対し関西11.6%と、関東人気が上のまま終了しました。
やはり舞台の地の利と視聴率の高低は、明らかに関係があるんですね。
ただし、大河ドラマが常に関西地方で優位に視聴率が取れていることも事実です。
昨年度「女城主直虎」の初回視聴率は関東地区16.9%、関西地区17.3%、平均は関東12.8%、関西14.1%でした。
しかも最終回は、関東地方は12.5%、関西地方は15.0%だったとのこと、これは主要舞台が東海地区である大河ドラマとしては、地方特性だけでは語れない数字となっています。
つまり、もともと大河ドラマは関西の視聴率が高いのが通例なわけですね。
そこに「西郷どん」の薩摩から京まで、という地域性が、付け加えられて開きが大きくなったんです。
「西郷どん」の視聴率はなぜ低迷?
それではなぜ、「西郷どん」の視聴率は、特に関東で低迷しているのでしょうか。
理由は次の4点が挙げられます。
・関東地区が舞台にならない(『西高東低』とリンク)
・ニーズに応えるため、役者も関西中心のメンバーが活躍
・家族の場面や島流しの話が続いていたため、歴史好きが離れた
・途中2回も特別番組を挟み、いい流れが止まってしまった
2回の特別番組は、「働きすぎ改革」と予算の折り合いをつけるため、大河ドラマを全50回から47回にするための移行措置、ということです。
盛り上がりそうなところで水を差され、視聴者離れが起きています。
また、このところ島流しが2回もあり、西郷吉之助は斉彬の死去以来、京都より東には行っていません。
また、愛加那役の二階堂ふみの演技や歌は見ごたえはありましたが、南国にとどまっている分、主人公の活躍は薄く、歴史の激動を見たいファンにとっては、ゆるい回となっていました。
主役の鈴木亮平は兵庫出身、弟役の錦戸亮は大阪出身で関ジャニ∞、また二階堂ふみは沖縄出身と、俳優陣の「西高」も顕著でした。
しかし、そこは腐っても大河ドラマ、話の流れは幕末の歴史の中でもワクワクする方向に舞台が移っていきます。
第28話では坂本龍馬(小栗旬)・勝海舟(遠藤憲一)などが登場し、一橋慶喜(松田翔太)と袂を分かった西郷吉之助が、いよいよ長州と手を組む方向に話が進んでいきます。
さらに笑福亭鶴瓶が岩倉具視役を怪演するということも、事前に評判を呼んでいます。
まとめ
まとめてみますと…
・「西郷どん」の視聴率は確かに『西高東低』が激しい
・その報道は、視聴率低迷隠しの役に立った
・視聴率の『西高東低』は今後変わる可能性もある
と、なります。
今後は舞台が江戸城・東京方面に移り、篤姫役・北川景子と西郷吉之助との再会など、楽しみな場面が多くなってきます。
視聴率の話はさておき、今後も見逃せない展開の「西郷どん」です。